食料自給率200%の農業王国・北海道。景気の低迷、公共事業の削減の中、農業が北海道の浮沈の鍵を握っているといっても過言ではない。その「力」は全国、世界に届くのか。「農」の現場から北海道農業の未来図を考える。【文・田中裕之、写真・木葉健二】
◇流通に風穴 「地産地消」を発信
毎日のように口にするパンやめん類。原料となる小麦の自給率はわずか14%に過ぎず、量や価格で優位に立つ外国産小麦が市場を席巻する。そんな中、十勝地方の小さな企業が小麦業界に風穴を開ける事業に乗り出した。
「外国産に負けない地元産の小麦粉を作りたい」。十勝地方初の本格的な製粉工場を建設した農産物卸売業「アグリシステム」(十勝管内芽室町)の伊藤英信社長(60)は力を込めた。十勝地方の小麦生産量は国産の約25%を占め全国一ながら、大半が十勝港から船で運ばれる。大消費地から離れ、製粉工場が育たなかった。
外国産小麦は長距離輸送のため、ポストハーベスト(収穫後)農薬の懸念が消えない。伊藤さんが思い描くのは安全な小麦を「地産地消」する食文化の全国への発信だ。
「麦の風工房」と名付けられた工場は09年3月に完成。今年1月中旬からは家庭用小麦粉「十勝麦王国 地粉(じごな)」(500グラム入り278円、1キロ入り398円)を道内外の生協やスーパーなどで売り出す。
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